返済比率について

キャッシングやカードローン、住宅ローンを組みたいと思っている方は、『自分が幾らの限度額なら無理なく借りる事ができるのか』『金融機関の人は幾らなら妥当と思って、融資してくれるのか』は気になるところだと思います。

幾ら返済可能かどうかは、返済額から年収の比率を計算した返済比率といった数字を使うと便利です。

返済比率について解説します。

返済比率とは、返済負担率とは

返済比率は金融機関で使われる、1年間の元利金等返済額の年収における割合の事を言います。住宅ローンの審査時に良く使われますので、住宅ローンを組んだ経験のある人にはなじみがあるのではないでしょうか。

一方で返済負担率とはどの様なものかと言うと、意味合いとしては同じで、各金融機関によって呼び方が異なっているだけになっています。もっと言いますと、返済比率の計算式も、1年間の元利均等返済額の年収における割合が一般的に使われているだけで、金融機関によっては別の計算方式(返済額÷手取り年収入といった)を使用している所も存在しており、特に定義は無いハウスルールと考えてください。

返済比率(返済負担率)の計算方法

最も良く使われている返済比率の計算は以下の公式で計算されます。

返済比率(%)=1年間の元利均等返済額÷税込み年収×100

年収420万円の人が、月10万円、年120万円の元利均等返済で住宅ローンを組んでいる場合の返済比率を計算してみますと、

返済比率(%)=120万円÷420万円×100=28.57%

となります。

一般的な住宅ローンの返済比率の適正水準

返済比率は住宅ローンの世界では、20%~40%位が適正水準とされています。

銀行の住宅ローンの目安としては

年収の300万円未満の人は25%

年収300万円以上400万円未満の人は30%

年収400万円以上の人は35%

位を目安にしている金融機関が多いです。

例えば、年収420万円の人が住宅ローンを組む場合において、返済率25%で計算すると105万円(月あたり8.75万円)、35%となると147万円(月あたり 12.25万円)という数字が出ます。

月額8.75万円 35年間ローン(賛否あると思いますが)で借りる事ができる総額は2,871万円、

月額12.25万円 35年間ローンで借りる事ができる総額は4,003万円

が適正水準から逆算した住宅ローンの金額になると言われています。これなら何とか都心から少し離れた中古マンションなら購入できそうですね。

返済比率から見るとどの位が適正なのかをシミュレーション

前項で返済比率は25%~35%が適正であると書きましたが、本当にそうなのか、もう少し細かく具体例を挙げてシミュレーション行きたいと思います。

例として年収420万円の人で、夫婦2人で子供なしの人で考えてみます。

年収420万円 夫婦二人 東京在住

年収420万円の人の専業主婦(扶養1人)家庭の場合、手取り月収は278,510円になります。このライフスタイルでの各々の支出項目でファイナンシャルプランナーの考える適正値を参考にしますと、

食費 手取りの15%

住居関連 手取りの25%

水道高熱費 手取りの5%

通信費 手取りの6%

保険料 手取りの4%

交際費 手取りの2%

日用雑貨 手取りの2%

遊興費、嗜好品代 手取りの19%

その他 2%

つまり、

手取り 27.8万円

食費 4.17万円

住居関連 6.95万円

水道高熱費 1.39万円

通信費 1.668万円

保険料 1.112万円

交際費 0.556万円

日用雑貨 0.556万円

遊興費、嗜好品代、美容院代、服飾費、その他 5.282万円

その他 0.556万円

貯蓄 5.56万円

位が家計の理想の家計シミュレーションとなります。

年収420万円、返済比率35%で住宅ローンを組むと、月額12.25万円ですからファイナンシャルプランナーが理想とする住居関連6.95万円より5.3万円も予算オーバーしています。

予算オーバーしている5.3万円を他の項目で節約するとなると相当大変です。遊興費を削ればいいのではないのかと思いますが、東京の2人生活ですから、この予算では難しいでしょう。

つまり、ハッキリ言うと銀行が許してくれる住宅ローン返済比率一杯で借りると余裕が無い状態になりますので、銀行が考える水準の一回り以上下の返済比率で無理な借入を行わないようにした方がいいでしょう。(銀行は住宅が担保にできていて、住宅ローンは返済が厳しかろうが住宅を処分すれば回収できますので、借りたいニーズがある人には過度に貸し出します。遺産相続など特殊な現金のアテがある以外では、銀行の『住宅ローン支払いは将来資産になるので、目一杯借り手も大丈夫』『将来的に収入は増えるので大丈夫』といった言葉に惑わされて、住宅ローンを組まない方が無難と個人的には思います。)

この家計の場合、キャッシングは幾らが適正?

上述した理想の家計ではどのくらいキャッシングをする余裕があるかというと、

住居関連(住宅ローン)貯蓄が 5.56万円

となっていますので、この5.56万円を返済していける余力があるとみなし借入を行うと(5.56万円を1ヶ月の返済余力と考え、期間3年間 金利18%で借りられる金額を逆算)153万円くらいになります。

このように家計の黒字額を3年間で返済できる金額として逆算すれば、ある程度歯止めの効く返済計画でのキャッシングが可能となります。逆に言いますと、この余力以上に借りてしまうことは返せなくなる可能性が高くなりますので、たとえ借りる事ができる場合でも破綻する事を考えれば控えた方が無難といえます。

実は高年収世帯の方がキャッシングを多くする

これまでは年収420万円の家計を例に挙げてみましたが、実は年収800万円以上の高年収世帯の方がキャッシング利用者は多いといったデータがあります。

これは考えてみれば当然の事で、年収が厳しい人のほうが消費をしない、家賃を抑える、教育費を抑える、妻が働くなどをしないと生活が破綻してしまうので、逆に金利を支払う余力が無くキャッシングをしないのです。

これに対し、高年収世帯は実はキャッシュフロー的には普通世帯より悪いのに、高額の住宅ローンを組む、教育費を多くする、妻が専業主婦をしたがる、その上酒宴やゴルフなどの付き合いが多く、お金が必要となりキャッシングに頼らざるを得なくなります。高収入ゆえに金利を支払う余裕があるところも一つの要因と言えるでしょう。

キャッシング返済額はリボリビング払いの返済額でなく、元利金等返済額で3年返済に直して計算したほうがいい

キャッシングの場合、返済比率の計算は住宅ローンと同様に支払っている実数値を返済額として計算しない方がいいと考えられています。というのも、銀行カードローン等の返済方式はリボリビング払いが現在主流となっており、リボリビング払いの規制は最低額を返済すればいいといった非常に緩いもので、かつ契約期間や期限前の取引終了の可能性もあるため、リボリビング払いの返済額=年間返済額とそのまま計算してしまいますと返済比率が過小な数字で出てしまいますので、期間を3年程度に絞って計算するのが実勢に合った返済比率の計算方法でしょう(裁判所の自己破産でも3年程度で完済可能かどうかを見るとされています)。

具体例を出して解説していきます。

リボリビング返済方式と元利均等法式で返済率をシミュレーション

例えば楽天銀行カードローンで残高スライドリボリビング返済方式、金利14.5%で150万円を借り入れたとして、初年度の返済額は20,000×12=24万円なので、年収420万円の人のキャッシング返済比率は、

24万円/420万円=5.71%

として求められ、その他に住宅ローンがあったとしても、まだ余裕があるかなと思って追加の借入をしても大丈夫かと錯覚してしまいます。

この例の様に過小評価されたリボリビング返済率で考えてしまうと、気がついたときには金利の支払いだけで一杯になってしまう可能性がありますので、キャッシングをする場合の返済比率の考え方は、リボ払いの返済額ではなく3年程度の期間を定めた元利均等返済額で計算する事をお勧めしています。

上記の例ですと、金利14.5%、150万円の3年間の元利均等返済額は、月間5.16万円ですので、年間61.92万円、つまり

61.92万円/420万円=14.74%

この数字を本来の返済比率と考え、生活を圧迫しないような制御が必要です。

住宅ローンがある場合とシミュレーション

この返済比率に上述した年収420万円の家計シミュレーションでみてみますと、住居関連(住宅ローン)6.95万円(住宅ローンの返済比率は6.95万円×12÷420万円=19.85%)ですから、14.74%+19.85%=34.59%となり、返済比率としてもかなり危険水域に入っているように見えますので、借入額はこれ以上増加させないように注意した方がいいでしょう。

この状態では貯金が全くできないですので、些細な契約満了時の限度額見直しや、冠婚葬祭などイベントで新たな借入をするなどして返済が滞ってしまう、多重債務者一歩手前ということができます。

金融機関でも類似したシミュレーションが行われる

ここまでで、計算が細かく複雑なシミュレーションを行って来ましたが、金融機関の住宅ローンやキャッシング審査でここまで細かい家計シミュレーションはされませんが、似た形で『3年間程度で無理なく返済できるか』にスポットをあてて審査する金融機関が一般的です。

上述した年収420万円の家計で、楽天銀行カードローンから金利14.5%、150万円を借りている人としてもう一度例に出してみますと、

手取り 27.8万円

食費 4.17万円

住居関連 6.95万円

水道高熱費 1.39万円

通信費 1.668万円

保険料 1.112万円

交際費 0.556万円

日用雑貨 0.556万円

遊興費、嗜好品代、美容院代、服飾費、その他 5.282万円

その他 0.556万円

貯蓄 5.56万円

<<借入額>>

借入 楽天銀行カードローン 150万円

150万円の残高スライド返済額 月間2万円 年24万円

150万円の三年間 仮想元利均等返済額 月間5.16万円 年61.92万円

この方の年収は420万円ですから、総量規制は

420万円×3分の1=140万円の枠

現状銀行カードローンからの借入以外行っていませんから、消費者金融に融資を申し込めば消費者金融側からすれば140万円まで貸付を行う事はできますが、既に150万円を銀行カードローンから借りている状態ですので、追加で140万円を3年間で返すとすると明らかに返せない水準となり、返済が滞り自己破産になってしまう可能性が高いと業者は考えます(140万円の金利15% 3年間元利均等返済は 月4.85万円、年58.2万円)。

計算すると、銀行カードローンで既に月5.16万円、その上 月4.85万円となると10.01万円ですから、家計シミュレーションでの貯蓄5.56万円を既に超えていますので、毎月借金を返済するために他の借金をしなければいけなくなる自転車操業状態に陥っているとみなされて全額融資は難しいといった判断が下されてしまいます。

この様なケースの場合では、総量規制にまだまだ余裕があるのにも係らず、消費者金融は貸し出しを渋り、結果借りたい金額を借りる事ができないといったケースは多々あります。

このギリギリの判断は、当然のことながら、銀行カードローン>クレジットカードのキャッシング>大手消費者金融>中小消費者金融 の順に緩くなっていきますので、大手消費者金融と中小消費者金融の審査結果に差が出る一因になっています。(ただし、銀行カードローンで既に限界に近い借入を行った後に中小消費者金融で無理な借入を行うと銀行カードローン側が危険性を感じ、更新などのタイミングで枠の減額に動いてくる可能性があるので一概に借りる事ができればOKという訳ではありません。)

もし、消費者金融や銀行カードローンでローンを申し込むときの借入希望額を幾らで申告するかを迷った場合は、上記のような3年間で返済した場合で家計の余裕で返せる数字を計算して申告・説明すると、金融業者も納得して審査に通してくれるでしょう。

いかがでしたか。返済比率からみると借入余地は以外に少ないかと感じていただけたかと思います。借入をする時は家計の見直しをして、無理のない借入額で借入をするようにしてください。