キャッシングの代位弁済とは

「代位弁済」という言葉をご存知でしょうか。この言葉を聞いてその内容にピンときた方は、ある程度の法律知識があるか、法律に関わる業務に携わっていた方でしょう。

代位弁済とは、法律上の専門用語であり、普通に生活しているぶんにはなかなか関わり合いになる言葉ではありません。ただ、この代位弁済という言葉。キャッシングやカードローンにはとても関係が深い用語なのです。

主に銀行や信用金庫のカードローンで返済ができなくなると、この代位弁済が実行されます。代位弁済が行われると、お金の貸し手が変わったり、信用情報に代位弁済が行われた事実が記載されるなど、さまざまな影響があります。

キャッシングに関して言うなら、代位弁済はぜひ避けたい事態だということになります。
代位弁済はなぜ行われるのか。いつどういったタイミングで行われるのか。そして、代位弁済が行われると具体的にどのような影響が借り手に及ぶのか。

これを理解するには、まず代位弁済がどういったものなのかを知る必要があります。

代位弁済はお金を借りる側にとってはネガティブな事態ですが、その内容について事前に知っておけば、代位弁済を防ぐことも、そして、代位弁済が実行されたあとにどうすればよいかも見えてくるでしょう。

代位弁済の意味は?

代位弁済の「代位」とは、「本来の持ち主が有していた債権を取得する」という意味です。「代」は代わる、「位」は地位といった感じの意味なので、「代位」はある人がいた地位に別の人が代わりに収まり、それにともなう権利を手に入れる、というイメージです。

「弁済」は「支払い」、つまり返済のこと。代位弁済とは、「代位が起こる弁済」、つまり元の持ち主が持っていた債権を取得する効果がある返済、という意味なのです。例えば、あなたが知人に借金をしたとしましょう。返済期限が来ているのに払うお金がない。

そんなとき、家族に頼んで代わりに借金を払ってもらいます。家族が代わりに借金を支払ってくれた場合、あなたが次にすべきことはなんでしょうか。それは、肩代わりしてもらった金額を家族に対して支払うことです。

つまり、借金の貸し手の地位が知人から家族に変化したということです。家族内の話であれば法律を持ち出す必要はないですが、他人との関係ではそうはいきません。一定の条件を満たせば弁済により、元の貸し手が持っていた権利を取得する。これが代位弁済です。

カードローンの代位弁済で貸し手が変わると書いたのも、これと同じことなのです。ただ、カードローンの代位弁済は、貸し手が変わるだけではありません。

信用情報への記載とそれによる影響もありますし、すべてのカードローンで代位弁済が行われるわけではないなど、いろいろな条件があります。カードローンの代位弁済は、保証会社との保証契約によって発生するのです。

代位弁済のしくみ

先ほどの友人からの借金を例にして見ていきましょう。あなたは友人から10万円を借りています。これを法律上は金銭消費貸借契約といい、友人はあなたに対して10万円の債権を持ち、期限までの返済を求める権利を持っています。

そして、それはあなたの側から見れば、友人に対する10万円の返済義務があり、同時に期限までは返さなくてよい権利を持っていることになります。法律上の契約は、基本的に二者間のみで効力を持ちます。

あなたと友人の借金に関する契約は、他人になんの影響も与えません。ところが、世の中にはそれだけでは処理できない事態もあります。そのひとつが第三者による弁済(返済)です。

家族があなたに代わり友人に10万円を返済すると、友人の持っているあなたに対する10万円の請求権は消滅します。そして、あなたの持っている友人に対する10万円の債務も同じように消えてしまいます。

その代わり、一定の条件を満たしたとき、家族はあなたに対して肩代わりした10万円の支払いを求める権利(求償権)を取得します。実質的にはお金の貸し手が友人から家族に変わったということになるのです。

一定の条件といったのは、単に第三者が返済をするだけで求償権が取得できるわけではないからです。法律の定めや貸し手の同意(時には借り手の同意)がないと代位弁済にはなりません。

というのも、見知らぬ他人が勝手に弁済をして、取得した権利を悪用してしまうケースがあるからです。友人からの借金の例では、弁済をした家族に債権を譲るという友人の同意とあなた自身の同意があれば、代位弁済が成立します。

カードローンの代位弁済もこれとほぼ同じ流れとなります。カードローンの代位弁済は保証会社という会社が行うのですが、その保証会社があなたの借金を肩代わりし、その代わりに求償権を取得してあなたに返済を求めてくるようになるのです。

カードローンの代位弁済とは

なぜ、カードローンで代位弁済が起きるのか。それはカードローンが保証契約を借り手以外の第三者(保証会社)と結び、保証を受けているからです。カードローン側は保証料を保証会社に支払います。

そして、もし返済が遅れた場合は、カードローンは保証会社から代わりに返済をしてもらえるのです。
この保証契約により、カードローンは万が一、貸し倒れになったときのリスクを回避できます。カードローンにとってこの保証契約は一種の保険のようなものなのです。

一方、保証会社も定期的に保証料を受け取ることができます。ただ、もし貸し倒れが起きると、保証会社は返済を肩代わりして、自力で債権を回収しなければならなくなります。保証会社はこのリスクと引き換えに保証料を受け取って利益を得ているのです。

ここでひとつ疑問になるのが、「保証料を誰が払っているの?」ということです。カードローンを利用していても、保証料を支払ったことがある、という方はおられないのではないでしょうか。それもそのはず、保証料をは金利に含まれているのです。

カードローンの実質年率というのは、1年に支払う金利やコストをまとめて一目でわかるように導入された表示です。この中には保証料も含まれているので、あとで保証料が利息に上乗せされることはないのです。

銀行カードローンには保証会社がついている

保証会社がついているのは、主に銀行や信用金庫のカードローンとなります。消費者金融のカードローンに保証会社はついていません。これはなぜなのでしょうか。その理由は、銀行や信用金庫は、小額の貸し付けを回収するノウハウに乏しいからです。

銀行などは大口融資に特化した金融機関であり、主に企業を相手に商売をしています。時に億単位の資金を融資することもあり、こうした高額の融資を回収する方法については豊富な知識と経験があります。

しかし、カードローンのように1件100万円など小口融資を回収するにあたっては、大口融資のノウハウが通用しません。大口融資なら土地建物を担保にとることもできますし、保証人を求めることも可能です。しかし、カードローンは原則、無保証、無担保です。

100万円程度の小額融資に保証人を立てたり、担保に抵当権を設定するというのはコストがかかりすぎるのです。そのため、銀行カードローンには、小口融資のノウハウが豊富な保証会社に苦手な部分を任せたいというニーズが生まれます。

これに応じて保証会社は、債権回収のリスクを引き受け、そのかわりに保証料を得ているのです。銀行カードローンに申し込むと、銀行本体以外に保証会社の審査もありますが、それは保証会社にとって申し込みをした人の信用力は重大な関心事だからです。

保証会社の正体は?

ということは、保証会社は小口融資に関して豊富なノウハウを持つ会社、ということになります。小額融資の経験豊富な会社はどこか。それは消費者金融や信販会社です。実は銀行カードローンなどの保証会社は、多くが消費者金融であったり、信販会社であったりします。

例えば、代表的な銀行カードローンである三菱東京UFJ銀行のバンクイック。これの保証会社は消費者金融のアコムとなっています。アコムは、三菱UFJフィナンシャル・グループの一員なので、バンクイックはグループ企業に保証を任せているということになります。

そのほか、じぶん銀行カードローン、セブン銀行カードローンなどの保証会社もアコムです。地方銀行のカードローンにもアコムを保証会社としているところが複数あります。一方、みずほ銀行のカードローンはオリエントコーポレーションです。

これはオリコカードなどを発行している信販会社です。みずほ銀行のカードローンは信販会社が保証会社になっている、ということになります。オリコも他の地方銀行の保証会社を引き受けています。

このほか消費者金融であるプロミスを経営しているSMBCコンシューマーファイナンスも三井住友銀行カードローンなどを保証しており、消費者金融や信販会社がこれまでのノウハウを生かして保証を引き受けているというのが実態なのです。

代位弁済が行われるとどうなる!?

ここまで代位弁済とは何なのか。なぜそんなしくみが導入されているのかを説明してきました。しかし、実際に重要なのは、借り手にとって代位弁済がどのような影響を及ぼすかです。返済が遅れ、代位弁済が行われてしまうと一体何が起きるのでしょうか。

代位弁済はカードローンと保証会社の保証契約に基づき、返済の見込みがなくなった時点で行われます。長期延滞扱いになる延滞開始の2ヶ月後から、代位弁済が行われる可能性があります。

代位弁済が行われると、「保証実行通知書」という書類がお金を借りた銀行などから送らてきます。これが送られてきたら、代位弁済が行われてしまったということです。代位弁済が行われた時点で、借金の債権者は銀行から保証会社に変化します。

バンクイックであればアコムが保証会社ですから、今後の返済についてはアコムと協議することになります。あなたはバンクイックに返済する必要はなくなりますが、アコムに返済をしていくことになるのです。

既に長期間の延滞をしたあとでしょうから、基本的に返済は一括で行なうことを求められるでしょう。もし、一括で払えない場合は、分割返済について協議することになります。ここでやってはいけないのは、とても返せないからと無視を決め込むことです。

話し合いの見込みがないと判断された場合は、裁判に訴えられる可能性があります。

代位弁済=ブラックリスト入り

代位弁済による法律上の効果ではありませんが、代位弁済により、借り手には重大なデメリットが発生します。それは信用情報に代位弁済が行われたことが記録されてしまうことです。これはいわゆるブラックリスト入りであり、今後の生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。

信用情報に代位弁済が行われた事実が記載されるということは、今後しばらくローンやキャッシングの利用が一切できなくなることを意味します。

信用情報は他の金融機関や貸金業者も見ることができるので、返済を長期間行わなかった人物であることが簡単にわかってしまうのです。

現在使っているクレジットカードなども、更新時期が来た時点で信用情報がチェックされますから、場合によってはそこで利用停止にされてしまいます。再び申し込みをしても代位弁済の情報を見られて審査落ちになるので、クレジットカードなしでの生活になってしまうのです。

代位弁済の記録は、発生日から5年間保存されることになっています。5年が経過するまでは、クレジットカードなし、キャッシングやローンも一切利用できない生活となります。そのほかの分割払いも不可となり、かなり不便な生活を強いられることになるでしょう。

なお、5年が経過すれば代位弁済の記録は消えます。ただ、代位弁済後も返済は続くはずなので、そこで長期延滞などを起こせば別の事故情報が信用情報に記録されることになります。

借金がサービサーに引き継がれることも

代位弁済により債権者が保証会社に移ったあと、さらに債権者が変わる場合があります。世の中には債権回収会社(サービサー)というものが存在し、保証会社がその回収会社にあなたへの債権を売却してしまうことがあるのです。

保証会社が自力で回収は難しいと判断すると、格安でその債権を回収会社に売却します。回収会社は格安で取得した債権をもとに取り立てを行なうのです。

こちらは債権譲渡といい、代位弁済とは別の行為なのですが、借り手からすれば代位弁済と同じように借金の貸し主が変わるということです。代位弁済のときと同様に債権譲渡通知が送られてくると、あなたへの債権が回収会社に売却されたということです。

債権回収会社の取り立てと聞くと、何か怖いものを連想しがちですが、債権回収会社は国の認可を受けた合法的な会社です。ードローンの保証会社は小口融資回収のノウハウを持っていますが、債権回収会社は債権回収にさらに特化した回収のプロです。

どうすれば、できるだけ多くの金額を回収できるかという手法を熟知しています。債権が譲渡されれば今度は債権回収会社に返済を行っていくことになりますが、この返済については、残りの金額のどれだけを返済するかを協議することになります。

債権回収会社に回される時点で返済はかなり望み薄だと判断されているので、返済を求める側もより現実的な対応となります。具体的には残高の一部を返済してあとは免除、といった形がその一例です。

返済期日は守りましょう

このように代位弁済とは、法律上のしくみを利用した銀行カードローンのリスク軽減策によるものです。銀行は保証会社に保証料を支払って、万が一、融資が焦げ付いたときに代位弁済を受けるのです。代位弁済後、貸し主は保証会社となります。

また、銀行カードローンが保証会社をつけるのには別の目的もあります。保証会社による審査を行なうことで、銀行本体の審査に足りない部分を補おうというものです。保証会社は小口融資の回収以外に、審査のノウハウも持っています。

この審査ノウハウを借りることができるのも保証をつけるメリットなのです。お金を借りる側としては、できるだけこの代位弁済とは関わり合いになりたくないものです。ブラックリスト入りによるデメリットは、長期間生活に悪影響を及ぼします。

今後住宅ローンやカーローンの利用を考えているならば、代位弁済が行われるような事態は絶対に避けたいところです。
代位弁済を避ける方法はひとつ。とにかく返済が遅れないことです。

代位弁済は返済の見込みが無いと判断された時点で実行されますから、とにかく期限までにきちんと返済をする、遅れそうな場合は自分から連絡を入れて返済について相談する、といった返済意欲を示す姿勢が大切です。