人生にずっとかかわりがある、「金利」とは

キャッシングやカードローンのみならず、住宅ローンや教育ローン、全てのローンには金利が発生します。近年では返済方法が複雑化しているため、金利の計算や返済額も業者任せになってしまいがちです。金利の計算や、グレーゾーン金利など行外全体の近年の動きについて解説していきます。

利息の計算方法

利息を支払うときの計算方法について解説します。

利息の計算方法は、例えば年利が18%でしたら100万円の18%、年間18万円利息がかかるといった単純なものではありません。 利息の支払い方法は、常に

(元本残高―元本返済額)×金利=利息

という構図が成り立ちます。

返済回数は毎月行うのが定番ですから、100万円を年利18%(月利は18%÷12ヶ月=1.5%)で借りていた場合、利息は

見回数支払利息
第一回目100万円×1.5%

第二回目(100万円-第一回目元本返済)×1.5%

第三回目((100万円-第一回目元本返済)-第二回目元本返済)×1.5%

となっていきます。

元本の返済方式は昔ながらの元利定額返済方式、元金定額返済方式、定率方式に加え最近ではリボリビング返済方式、残高スライド方式など新しい返済方式が誕生、導入されてきています。(詳しくは返済方式を参照)

返済方式による元本の減額のスピードで、最終的な利息の総額は減少します。どのような返済方式を選択しても、支払い期間が長ければ長いほど利息の支払いが増えていく事を認識してください。

改正貸金業法施行前の個人金融

2006年12月13日に貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正が成立し、貸金業法が改正されました。この法律が改正された原因は、1990年代からの景気減速や金融不安から銀行が融資先を絞り、消費者金融や商工ローンなどの個人金融へと顧客が流れ、個人金融が脱法行為や悪質な取立て等の暴走を始めたことから改正されました。当時、何が起こっていたのかを解説します。

利息制限法と出資法

改正前の貸金業法の中にも、『利息制限法』といった法定上限金利が定められていましたが、利息制限法には抜け穴があり、登録貸金業者が業として行う利息契約をした際、利息制限法で定める金利を超えても一定の条件を満たせば有効となるとされていました。

一定の条件(いわゆる『みなし弁済』)を満たすと、利息制限法の例外になっていた。

  • 債務者が任意に支払った場合
  • 契約書をキチンと交付する
  • 受取書をキチンと交付する
  • 出資法の上限金利(29.2%)には違反しないこと

利息制限法の上限金利は今と変わらず、元本が10万円未満の場合は年率20%、100万円未満の場合は18%、100万円以上の場合は15%だったのですが、ほぼ全ての消費者金融業者は『みなし弁済』を悪用して、出資法に違反しない年率29.2%を中心に営業をしていたのです。(グレーゾーン金利)

グレーゾーン金利に違法判決

ほぼ全ての消費者金融が『みなし弁済』を根拠に、出資法で高利を得ている中、消費者金融業界を揺るがす転機が訪れます。2006年1月23日 最高裁で上述の『みなし弁済』に関する判断として、「債務者が事実上にせよ強制を受けて利息の制限額を超える額の金銭の支払いをした場合には、制限超過部分を自己の自由な意思に似よって支払ったものという事はできない。(条件の1が否定される)」との判断を下し、『みなし弁済』を認めないことに加え、過去にさかのぼり払いすぎていた部分の金額は返さなければいけないとの判決を下したのです。

この判決は強烈で例えば、50万円を元利定額返済方式の24回払い、グレーゾーン金利の29.2%と 18%(50万円の利息制限法)で計算シミュレーションしますと

返済回数支払額29.2%支払金利29.2%残り元本18%で計算した場合の残り元本
1回目27,75112,167484,416479,749

2回目27,75111,787468,452459,194

21回目27,7512,54479,3604,449

22回目27,7511,93153,540▲23,235

23回目27,7511,30327,092▲50,986

24回目27,7516590▲78,737

シミュレーションの様に、金利18%で計算し直すと、本来の金利以上に払っていた分は元本返済に回され、どんどん元本が減りますので22回目で返済は全て終わり逆には支払過ぎている計算になり、払いすぎた元本と金利の78,737円は過払い金利となります。

50万円の29.2%の総支払額は666,024円、内受取金利は166,024円で、この受取金利は収益として計上され、株主や従業員に対し分配されています。単純計算で、78,737/166,024=47.4%の過去の利益が消失し、消費者に返還しなければならないのですが、すでに分配した後になっており、返すことなどできるはずがありません。

消費者金融業界の消滅危機

この最高裁の判決は、消費者金融業界の根幹を揺るがす大惨事へと発展しました。何せ、利用者から請求された場合、過去に遡って上記の様に累積利益の大部分を返還する義務があるとされたからです。顧客全てが返還請求してくるわけではないにしても、利益は既に株主に対して配分されており、今後の返還請求を見込んで積み増し金を計上したら消費者金融大手であっても債務超過となってしまいます。この判例がでた後(平成19年3月期)のプロミスの決算を例として見てみますと、

営業収益 2,999億(前期3,079億)

当期純利益 ▲3,749億(前期409億)

となっていますから、この気に返還準備金を計上して、およそ10年間分の利益を吐き出した決算内容になっています。当然資本はマイナスの状態となり、財務諸表は債務超過の状態に陥っています。

大手消費者金融ですら債務超過の状態ですから、中規模、小規模の消費者金融も資本金を注入できないところは廃業となり、実質消費者金融業界が全て消滅するとまで言われました。

大手消費者金融も債務超過の状態を放置していれば、民事再生法(いわゆる一般企業でいう倒産)を申請しなければいけませんので、資本提携で資金を注入してくれるパートナーを探さなければいけません。

当時、消費者金融業界は武富士、アコム、プロミス、アイフルの順に貸付残高を持っていましたが、当時から取立てなどで大きな問題を起こしていなかったアコム、プロミスには救世主として三菱UFJ、三井住友銀行が現れ、大量資本を注入してもらい傾いた経営を立て直します。

創業者の刑事事件や、業務停止命令を受けていた評判の悪い武富士、アイフルは同じような提携先パートナーを探すものの、問題がある企業への出資を行おうといった金融機関はおらず、武富士は完全に消滅し、アイフルもADRで事業再生といった(実質破綻)の憂き目を見る事になりました。

クレジットカード会社や信販会社はセーフ

ちょっと話の本筋からそれてしまいますが、『昔のクレジットカード会社や信販会社の分割手数料って、確か29%くらいあった気が。これは過払い金請求できないのかな』といった疑問についてお話します。

クレジットカード会社のショッピングや信販会社は『割賦販売法』が適用されており、この法律に法定上限金利はありません。つまり、理屈の上では100%であっても違法ではない為、過払い金の請求はできないことになります。

何故、消費者金融と似たような手数料だったかというと、業界団体の自主規制ルールの上限にあわせた対応のためです。現在では、利息制限法に合わせて18%くらいが主流になっています。

改正貸金業法施行後の個人金融

改正貸金業法によって以下のような変更がなされました。

  • 参入に必要な純資産額の引き上げ→誰でも簡単に貸金業が射止めないように、現状足りない無いところは順次廃業
  • 貸金業協会の自主規制機能の強化→貸金業協会がルールを作り、検査/処罰する権限の導入、証券業の証券業協会と同様の権限を与える
  • 取り立て規制、団体生保の禁止等
  • 過剰貸付の抑制→いわゆる総量規制

これらによって、改正後の消費者金融業界の流れは大きく変わっていきます。

サラ金ビルの消滅

10年以上は小さな雑居ビルの一番上から下まで、テナントの看板が全て『○○ローン』になっているビルが記憶にあると思います。このようなビルが現在あるか探してみても、全くみられません。

これは、過払い金と改正貸金業法で『参入に必要な純資産額の引き上げ』に抵触した中小規模業者が廃業し、新規に参入できる業者もいなくなった為に業者数が減った為です。

法律上の上限金利、損害地遠近の上限を守る業界に

改正貸金業法の後は、上述した出資法の規定も廃止され、利息制限法の抜け穴も廃止されたことから、どの業者も利息制限法の法律上の条件を守るようになりました

法律上の上限
10万円未満年20%

10万円以上100万円未満年18%

100万円以上年15%

損害遅延金の上限も、これに合わせて引き下げられます。

損害遅延金の上限は、制限利率の1.46倍まで
10万円未満 年20%×1.46=29.2%

10万円以上100万円未満 年18%×1.46=26.28%

100万円以上 年15%×1.46=21.9%

どこの消費者金融の契約書にも遅延損害金について、上記で計算された上限以下の金利(アコム20%、アイフルは20%)で記されていると思われます。もし返済を遅延した場合は、通常の金利ではなく、遅延損害金の金利が適用されると覚えて置いてください。

銀行、クレジットカードのショッピングは関係ない

銀行のカードローンは大体高いところでも15%位、クレジットカードのショッピングの手数料は18%位が設定される所が多く見られます。これは『利息制限法』の法定金利を意識して設定しているかのように見えますが、銀行カードローンは『銀行法』、ショッピングは『割賦販売法』が適用されますので、実はこの2つの法律には金利の規制は存在しません。

つまり、理論上、金利30%の銀行カードローンやクレジットカードの手数料を作ることは可能ですが、業界団体との足並みを合わせた運営をしているようです。

金利は変動するの?

消費者金融や銀行カードローンの金利が変動するかについて解説します。

変動金利について

消費者金融や銀行カードローンの殆どは固定金利ですが、実は横浜銀行の様に変動金利をカードローンに導入している業者も少数ですが存在します。どのように変動していくかと言うと、短期プライムレートを基準金利として、その上下で金利が決定すると言ったものです。短期プライムレートが下がったときは、金利も引き下げられますが、上がったときは容赦なく返済額が上がる性質を持っています。

金利が上がる場合

普通のカードローンなら金利が上がらないのかと言うとそうでもありません。現在、中央銀行の金融政策金利は長い間0%前後に据え置かれていますが、仮に日本にハイパーインフレーションがおこり、金利が数%に上昇すると、コストを吸収する為に契約期間満了の際に契約を延長したいなら金利を引き上げるケースが発生すると思われます。

金利を下げたい場合

大抵の業者で、貸出金利4.5%~18.0%といった表記がなされていると思います。この場合、5.2%で借りることができるかと言うと大半の場合上方である18.0%での貸出になります。

これは大半の業者で、商品毎に違いがありますが下図のように貸付残高に応じて有利な金利へと下がっていく方式になっている事と、実績のない最初の内は既存客へのサービスをする理由がない為です。

このように業者としては、信用状態がいい状態の顧客に大きな金額を使ってもらえればお得意様と思ってくれます。

金利を下げたい場合は、単に『下げてください』と言うような交渉をするのではなく、限度額の殆ど上限まで借り、他社の返済もするなど借入先の整理を行い、優良顧客と思われる形にしてから交渉をしてみるといいでしょう。期間を長く借りて実績を作ることも重要です。

改正貸金業法の総括

上述までの貸金業法が改正されたことにより、過剰貸付の抑制で借りすぎによる自己破産件数が減少したり、業界団体で悪質な取立てがなくなったりしたかかというと、自己破産件数は減少し、悪質な取立ても減ったなど狙ったとおりの効果が出ているようです。

貸金業法改正前は闇金に消費者が流れ、被害が増加するなど反対意見もありましたが、ヤミ金の被害人数はここ最近スピードを上げて逓減していっています。

これは小規模な業者が乱立していた改正前から、小規模業者が淘汰・廃業し大手消費者金融に流れたことにより、金融庁や貸金業協会もチェックの対象を絞ることができて消費者金融業界がクリーンになった事に加えて、ヤミ金と正規業者との区別がつきやすくなった事が要因かと思われます。

いかがでしたか。現在の金利は最高裁の画期的な判決や改正貸金業法の改正によって成り立っています。昔の貸金業者を覚えている人は、今の貸金業者が随分とまともになったかと感じているでしょう。

法定金利をオーバーしている業者は皆無になり、取り立てもお金がないなら粛々と法律上認められている手続の範囲で行うようになりました。

もし法定金利以上の営業や悪質な取り立てをしている場合は闇金ですので、所定の機関へと相談してください。